This Heat - This Heat

This Heat  アヴァンギャルドサウンドってのはもの凄くマニアックな世界でどんな評論を見ても滅茶苦茶かっこよく「名盤」とか「世紀の傑作」とか書かれていて購買意欲をそそるんだよね。しかもそれが全然手に入らなかったりするから余計に聴いてみたくなるし。で、多くのモノを無理して入手するんだけど結局アヴァンギャルドな音だからさ、何回も聴けないワケで、正直それがかっこいいもの、かどうかもわからないんだけど探して苦労して手に入れたという思いの方が強いから「名盤」ということにして持っていることに満足する傾向にあるアルバムが多い(笑)。

 This Heat。このバンドもそんな類のひとつでアルバムは割と早めに入手したものの音を聴いて決してピンと来たバンドではないな。電子音のノイズから始まっていきなり二曲目、しかもよくわからん攻撃的というのか呪術的というのかアクの強いサウンドで迫ってくるもので始めて聴いた時はワケ分からなかったな(笑)。…とは言えども、だ、プログレやらなんやらと聴いていき、カンタベリーサウンドにも親しんでからその先を漁ろうとするとこのバンドの名前が出てくるんだよ。簡単に言えばケヴィン・エアーズとディス・ヒートは繋がってしまうという英国ロックの恐ろしい構図なワケ。キーポイントはドラムのチャールズ・ヘイワーズ。元Quiet Sun、即ちロキシー・ミュージックのフィル・マンザネラのセッションバンド、みたいなもんだけどかなり傑作というのかこれに近いような即興的ジャズ的アヴァンギャルド的要素を含んだアルバム「Quiet Sun」を一枚リリースしている。で、このバンドにはビル・マコーミックっつう元マッチング・モウルの人も参加しているワケさ。ね、繋がったでしょ(笑)。

 しかしこのディス・ヒートっつうのはいいアルバムだったんだろうか?一握りの人間にとっては相当な衝撃を与えたバンドであることは間違いない。俗に言われる言葉に「King CrimsonとSex Pistolsの間を埋めたバンド」として称されることがあるように言い得て妙な部分があってさ。ノイズ+混沌、そして攻撃性…、うん。悪くはない。が、一般的な音楽をいうのとは大きく異なる衝撃だということは書いておいた方がいいかな。

801 Live - 801 Live

ライヴ+ボーナスCD(紙ジャケット仕様)  クラシック畑で育っているフランシス・モンクマンがカーヴド・エアーを出た後に行き着く先というのは結構興味深いものがある。もちろんクラシックをやっていたことで音楽的な幅が出てきたりバンドに貢献するという側面は大きかったのだが、クラシックを中心としたバンドはほとんどやっていなのも面白いのだ。それだけ野心的で複合的な刺激を求めていた人なのかもしれない。ブライアン・イーノという人はもともとロカビリーが好きな人らしく…、ただロカビリーっつっても音楽ではなくってスコッティ・ムーアのリバーブの音とかが好きだったという逸話もあって、さすが変わり者、と思う次第。マジメにWindowsの起動音を作曲したと云えるのも凄いことだと思うが。

 話は戻してフランシス・モンクマンがイーノのプロジェクト「801ライヴ」に参加…、まぁ、一般的にはフィル・マンザネラのプロジェクトという言い方かもしれないんだけどさ。801ライヴと称されたプロジェクトで鍵盤に座ってます。ここでの凄さはいっぱいあってさ、第一に印象的なのはドラムのサイモン・フィリップスのセンスあるテクニック。ビル・ブラッフォードになる素質十分に出しているドラミングで、大物相手にまるでビビることなく、それよりも自分に絶対の自信を持ったドラミングを聴かせてくれるというのも凄い。テクニック論で言ったらこの頃にはもう完成されていて大物ブリを発揮しているってところ。「East of Asteroid」っつう曲でそれは思い切り発揮されていて、まずぶっ飛ぶ。

 合わせてベースのビル・マコーミックの音も凄い自己主張していて、ちょっとやそっとのセッションではないことが一発でわかるでしょ。それくらいに気合い入りまくった凄いライブ。曲そのものなんてそれほど貴重ではなくって演奏力がこのライブの白熱さを出しているってとこかな。ま、それでもビートルズの「Tomorrow Never Knows」のカバーなんてのは凄くイーノらしくて、迫力あって面白い。「You Really Got Me」にしてもそうだけど、モチーフとしてるだけで凄い充実したプレイが聴いているものを興奮させるね。だからこのアルバムって名盤扱いされているのを知ってる人は知ってる。ただ、ポップさはないので、そりゃもちろんイーノだからヘンなポップさはあるけど、一般的ではないわな(笑)。

 あ、フィル・マンザネラのギターももちろんそつなくよろしいし、モンクマンの鍵盤もしっかりと裏方しているので期待はハズしません。ハズすのは歌くらいか…。いや、気にならないけどね。曲そのものはQuiet Sunやマンザネラのソロ作「Diamond Head」、イーノの作品で構成されてます。いや、しかしサイモン・フィリップスのドラム凄いわ。