Camel - The Snow Goose

 英国らしさを奏でるバンドは数多くあるんだけど、キャメルもその中ではかなり英国的なバンドと云える。アンディ・ラティマーの美しくメロディアスなギターは同じギターでもこのような旋律をこれほど綺麗に奏でることができるのかと思うくらいに素晴らしいラインを聴かせてくれるのだ。そして今は亡き鍵盤奏者ピーター・バーデンスの鍵盤もその美しさを補って余りあるドラマティックな音を奏でている。これだけでキャメルの骨格が出来上がってしまうトコロが素晴らしい。そしてそのキャリアの中で最も美しくそして幻想的な空間を聴かせてくれるのが最高傑作として誉れ高い「The Snow Goose」だ。

 同名小説の音源化ということで、まぁ、小説の世界を音で表すってのはなかなか大変だと思うのだが、そして自分的にはその小説を読んだことがないので主人公やストーリーを意識してこの作品を聴いたことがない。故にあまりまともに書いてはいけないのかもしれないのだが(笑)、アマゾンにあるらしいので今度入手してみる?しかしあまり大人向けって感じでもないな(笑)。

 「白雁物語」  それはそれとして、この作品の素晴らしさってのはみっちり45分、インストだけで物語を意識した展開を聴かせてくれるんだけど、飽きない。テーマソングの旋律が綺麗でねぇ…、これがアチコチに出てくるから飽きないんだろうけど、よく出来てるんだよ。全編に渡って作り込まれているし、オーケストラも隠し味で使われていたり、決してギターだけでのインストものじゃなくてさ。基本的にギターインストモノって飽きるんだけど、これはそういう感じではなくってしっかりとキャメルってプログレバンドのひとつの作品として君臨しているアルバム。美しいという形容詞以外に表しようがないのも哀しいけれど、聴いてみてっ♪

 キャメルっていうバンドには名曲がいくつもあって、もちろんアルバム毎に色々と特性はあるんだけど、個人的にはファーストアルバムに収録されている「Camel - A Live Record - Never Let Go Never Let Go」はハズせないねぇ。これぞ叙情的なプログレサウンド、キャメルの代名詞、って思ってるくらいに好きだな。それとセカンドの「Mirage」での大曲「Camel - A Live Record - Lady Fantasy Lady Fantasy」ね。これもやっぱ好きだなぁ。ま、ポップっちゃポップだけどさ(笑)。1994年にキャメル組とキャラバン組が一緒になってライブをやったんだけど、それがミラージュっつうバンドで二枚組CDが出てるんだけど、代表作ばっかりの再演で嬉しかったな。当時よく聴いた。ちなみにキャラバンのリチャード・シンクレアはキャメルにも参加しているのだ。う〜ん、深い世界だ。 Camel - The Snow Goose The Snow Goose
Camel - A Live Record A Live Record
Camel - Rain Dances Rain Dances

Camel - Mirage

Mirage  やはり音楽の叙情詩というものは重要だ。これは残念ながらアメリカからは出てこれないサウンドだろうな、と決めつけてはいけないが、やはりやむを得ない事実ではないかと。まぁ、偏見とも言うのだが(笑)。いや、でもやっぱりヨーロッパならではの伝統的な側面だというのはあるはず。殊に英国の叙情性というものは他のヨーロッパ諸国のモロに露骨な、例えばイタリアのようなものとは異なり大げさにはならない。それでも深くしっとりと染み渡ってくる叙情性なのだ。そんな叙情詩を音にしているバンドの大代表がフロイドだったりするし、キャメルというバンドもその一角だ。

 1974年リリースの二枚目「Mirage」というアルバム。ファーストアルバム「Camel」と音楽的にそれほど変化があるワケじゃなく、センスが磨かれたっていう感じかな。音的なものだけで言えばピーター・バーデンスの鍵盤が全面に出ているのでどっちかっつうとピコピコ系なイメージもあるんだけど、そこはさすがにキャメルの雄であるアンディ・ラティマーのギターが鋭いところでロックファンの心を刺激してくれるのだ。普通に意識しないで聴いているとこの鍵盤とギターの音色の違いを意識しなくなるもん。うん、違うんだけど、多分ラティマーのギターの音がスペイシーでマイルドでおよそギターの感じがしないからでしょ。コードを掻き鳴らして、っていうシーンも多くはないのでかなり特殊かな。

 そうだねぇ、このバンドって凄いのはアルバム全体を通してってのもあるけど一曲ごとに情景が目に浮かぶような音を聴かせてくれるってとこかな。別に解説も知識もなくっても音を聴くとなんとなくこんな情景なのかなぁってのが浮かぶ。目を閉じて聴くとしっかりと自分だけのイメージが沸き上がってくるから面白い。このアルバムのコンセプトって何だろな。多分「指輪物語」だと思うけど、それを露骨に明言しないでもリスナーとしてはそういうのをイメージして聴ける。するとまるで映画音楽のように楽しめる。しかしラティマーのギターは面白い。こういうのを歌うギタリスト=ギターを歌わせることの出来るギタリスト、と呼ぶのだ。しかもバンドアンサンブルが抜群。

 この「Mirage」という作品、冒頭から優れた旋律とアンサンブルによって歌が少ないのにもかかわらずアルバムとしての印象が強いものになっているんだけど、一般の例に漏れず、キャメルの世界の最高傑作と呼んでも過言ではないであろう「Lady Fantasy」という稀代の作品を配しているアルバムなのだ。壮大な一大叙情詩が描かれている作品で美しいんだよ、これ。プログレが好きとかキライとかっていうのじゃなくって流れていると心地良くなるサウンドなので聴かない方が損じゃないか?なんて思う。まぁ、こういう雰囲気を望まない時は別に興味ないのだろうけど、ひとつひとつの音が染み渡ってきてねぇ〜、良い。ドラマティックな展開ももちろん素晴らしく12分を感じさせない物語♪この延長が後の「The Snow Goose」という素晴らしいコンセプトアルバムに繋がるんだろうな。