Gong - Camembert Electrique

Camembert Electrique  ここまで来たらやっぱりゴングでしょう〜、ってことで超名盤!の「Camembert Electrique」です。永遠のヒッピー、デヴィッド・アレンの話はソフトマシーンの話題を紐解いているとよく出てくるのでご存じの方も多いと思いますが、、、結局バンドでフランスツアーへ行ったら麻薬常習者だったアレンの帰国が許可されずにバンドを脱退せざるを得なかった人です。で、またフランスでバンドを組んで同じようなソフツを追随するかのようなサウンドを創り上げてしまった天才の物語という信じられない人です。こないだ初めての来日公演を行ったみたいなんだけど、今だにヒッピーのままだそうな。う〜ん。

 ファーストアルバム「Magick Brother」で世に出たゴングなんだけど、いわゆるサイケ、ドラッグ感バリバリの浮遊サウンドでもちろんアレンの才能豊かな音楽性(?)が垣間見れたんだけど、やっぱりねぇセカンドアルバム「Camembert Electrique」です。初っ端の「Radio Gnome」の効果音から「んん?」っと思わせながら素晴らしきカンタベリー的ロックの名曲「You Can't Kill Me」。どこかで聴いたことのあるような独特のカンタベリーメロディーに乗せたかっこいいロック。続いての「I've Bin Store Before」なんかもボードヴィルというのか、、、同時期のキンクスがやり始めていたような何でもありの感覚が見事。全体的になんとなくザッパのアルバムを聴いているようなコミカルな雰囲気がたっぷりと漂っていて、アレンのユーモアセンスが光る。サウンドはプログレと括られてしまうにはあまりにももったいないくらい多様性を持っているので、もっと適当なジャンルがあるといいんだけどね。後半の「Tried So Hard」なんてのもギターのカッティングとピップ・パイルのドラミングが凄くロックでかっこいい変態サウンドで良いんだなぁ。以降怒濤の佳作揃いでアルバム全体の印象を最後まで崩さない作り方はやっぱりこの作品が最高傑作って言われる所以です、はい。

 ソフトマシーン以上にバンドメンバーに変化の激しいゴングはアレン脱退後もバンドが継続されていつしか超バカテク集団のフュージョンバンドになっていくんだけど、そういう変化もソフツ的で面白い。当のアレン本人は相変わらず思い付いたらプレイする、みたいなヒッピー人なワケだな。才能ある人の生活は羨ましいですねぇ。

Gong - Expresso II

Expresso 2  そもそも英国でSoft Machineを組んでサイケデリックの世界では名を馳せてPink Floydと双璧のバンドとしてUFOクラブの顔となっていた人間のひとりでもあるデヴィッド・アレンがSoft Machineでフランスに行ったら英国に戻してもらえなかったという嘘か真か、ほんとにそんなことあるのか?戦争中じゃないし、国籍がオーストラリア人だったから不法滞在していたが故の英国拒否と言うことだが、ならばフランスならいいのか?そんな基本的なところで不思議な逸話があるのだが、結局オーストラリア人が英国でバンドを組んでツアーでフランスに行ってそのままフランス人に帰化したってことなのだろうか?日本に来れるんだから今はビザの問題もクリアしているのだろうし、まぁ、英国との行き来もしているので随分前にその問題は解決したことだろう。そんな中途半端なことに気を取られているのだが、話の中心はそのデヴィッド・アレンじゃなくてゴングです。

 その歴史が実に複雑な変幻自在・国籍不明のロックバンド、ゴング。今回はPierre Moerlen's GONGとも云える1978年の作品「Expresso 2」あたりで…。その前の「Gazeuse」という作品が結構超絶で炸裂していた=ホールズワースの力に依るトコロ多し、だったのでどこまでゴングというバンドに実力なのかよくわからないんだけど、毎回結構聴きごたえのある作品が続いているのは事実でして、それが故に聴いてしまうんだけど、好みで言えば決して好みの作品ではないんだな、不思議なことに。それでも力作というか熱演というか、そういうのがわかるのとやっぱカンタベリー的な香りがいつでもするというのもある。でも、それも不思議で、この「Expresso 2」の頃が既にメンバー全員フランス人なワケでして、カンタベリーなんて行ったこともないんじゃないかっつうメンツなんだな。それでもデヴィッド・アレンの影響力がそのまま残っているのか、そんな香りすら感じる部分がある。ゲストを見てもホールズワースはともかくミック・テイラーなんてブルース→ストーンズなんだから別の世界だし、ダリル・ウェイが参加しているくらいで、ダリル・ウェイもクラシック上がりのバイオリニストなのでカンタベリー的ではないもんな。面白いわ。

 ってなメンツを揃えて前作「Gazeuse」の勢いを再現…と意識したのだろうが、既に名を知らしめていたホールズワースもゲスト的に参加している程度…と言っても参加している曲のギターがこれまた執拗で流暢なプレイでして、聴き応えがあるのは事実なのだが、バンドよりもホールズワースだね、って感じ。曲のレベルは前作にはちと劣るか。それでもBGM的には結構良いので面白いし、「Expresso 2」はある意味Pierre Moerlen's GONGという音の構図が完成されてきた位置付けの作品。

Gong - Gazeuse!

Gazeuse!  カンタベリー系アヴァンギャルド路線にハメ込むには少々無理があるんだが、まぁ、流れ的によろしいとしようじゃないか(笑)。いや、ゴングの話。どっちかっつうとピエール・ムーランのゴングなんだけどさ。時期的にも1976年以降のジャズ・フュージョン化した頃の作品だったりするので少々カンタベリーのジャズロックとは違うんだけどさ、根がカンタベリーだったハズのバンドなので、逆にここまで変わるモノかと思うくらいの意味合いでは良いかな。ゴングの遍歴ってのはデヴィッド・アレンから始まってもの凄いことになってるんだよね。簡単に言うとデヴィッド・アレンが率いるゴングっつうのと、このピエール・ムーランが率いるゴングが同時期に活動していたりするのでややこしい。そしてジリ・スマイスの率いるマザー・ゴングっつうのも出てきているのでゴング・ファミリーの活動についてはちょっとマジメに取り組まないとワケのわからん世界になってしまう。故にどのアルバムが…なんてのも一口に言えないものなのだ。

 初期のゴングを代表するラジオノーム三部作も素晴らしいユートピア精神溢れる代物だが、ここではそれ以降のピエール・ムーランのゴングを代表する1977年リリースの「Gazeuse!」なんてのを書いてみよう。いやぁ、アラン・ホールズワースが参加しているアルバムでね、アラン・ホールズワースの流れの時に出そうと思ったんだけど音が見つからなくて飛ばしてしまったんだな。で、たまたま見つけたのでここで登場ってことだ(笑)。しかし、誤解してはいけない。このアルバムはアラン・ホールズワースのギターを聴くためにあるものではなく、高尚なアンサンブルと浮游感に覆われたジャジーな空間…というか、はっきり言って木琴とピアノのアンサンブルが美しくてねぇ、そこにパーカッショナブルなものも入り込んでくるという美しい音を奏でる作品なのだ。「Percolations : Part I & Part II」なんていう10分オーバーの曲聴いているとやっぱりテクニカルでカンタベリーチックな音だなぁと言うことがわかるんじゃないかな。あまりにもピエール・ムーランのパーカッションなセンスがよろし過ぎて、下手したらビル・ブラッフォード並みにアチコチのバンドを渡り歩けたくらいのセンスとテクニックを持ってるもん。ソフト・マシーンにビル・ブラッフォードが入ったら…こうなる、って感じかな(笑)。

 そんなゴングの多分傑作だと思う。昔からジャケットはよく見たけどフュージョンチックなのであまり聴かなかったんだよね。ところがまぁ、色々と聴いているうちにこういうのもありか、と聴くようになるものなのだ。以降の「Expresso II」も同様にかなり気合いの入った良い作品だし、その後の「Downwind」もモロに趣味が出た作品だね。ただ時代が遅すぎたかもしれん(笑)。

Egg - Egg

Egg  なんかルーツ・オブ・カンタベリーみたいになってしまっているのだが、単にデイブ・スチュワートを追いかけると自然にそうなってしまうワケで、やはりカンタベリーシーンの重要な人物なのですねぇ。今度は60年代末期から70年代にかけて活躍(?)したその筋では有名且つハイレベルな楽曲と演奏を奏でていたバンド、Eggの最初のアルバム「Egg」を書いておきましょう〜。

 メンツはデイブ・スチュワートとモント・キャンベル、ドラムにクライブ・ブルックスというトリオの布陣で鍵盤、ベースとドラムという編成なので果たしてどんなん?ってのが最初なんだけど、まったく問題のないカンタベリー…というか鍵盤ロックなんだよね。ロック?うん…、そう。オルガンやピアノ中心で淡々と奏でられているものもあればモント・キャンベルがか細い声で歌うものもあって、もちろん歌が入っている方がポップ性が高いんだけど、演奏面ではエマーソン先生のNiceよりも激しくて面白いかもしれない。時代的に被る頃だと思うけど、メンツのテクニックの差がよく出ているモン。そして楽曲の在り方も全く異なるアプローチなので新鮮でクール。

 デビューアルバムは1969年のリリースで後に聞かれるカンタベリー性というほどのものじゃないんだけど、断片はいくつも聞けるし、雰囲気はしっかりと伝わってくる。でもね、それ以上に同時代のオルガンロックバンドとして聴くととんでもないバンドサウンドで熱く激しく奏でられる楽曲もいくつか収録、そしてB面では20分かけての組曲を思い切り展開するという個性的な音。モント・キャンベルのベースラインも凄いんだよ、これ。そこにデイブ・スチュワートの訳の分からない鍵盤が絡んできて…凄い世界。今こういうの考える人いないだろうし、時代ならではなんだけど、とんでもなく激しく素晴らしい。カンタベリーシーンを苦手と感じている人はこのEggのファーストアルバム「Egg」をお薦めしよう。なぜなら60年代末期のオルガンロックとして普通に聴ける部分が大きいから。若気の至りとも言うが(笑)。

 ジャケットがこれまたEggでして…、どこか意味深でインパクトあるよね。正に70年代の幕開けに相応しい名盤とも言うべき作品、且つカンタベリーシーンの原石ともなるアルバムとメンツ。うん、ジャズロックという括りでは当てはまらない独自性の高いロックはやはり面白いっ!

Egg - Polite Force

Polite Force  実験的音楽ってのはカンタベリーシーンでも行われていて、もちろんソフトマシーンやキャラバンの初期に代表されるようなサイケデリックさも挙げられるんだけど、1968年にはユリエルというバンドがあって、そこには後にゴングで有名になるスティーヴ・ヒレッジが在籍していたことで多少は有名、か?いまではアーザケルとして多少知名度があってもおかしくないが…。それはともかく、そのユリエルにはあのデイヴ・スチュワートとモント・キャンベルが在籍していたワケで、彼等はヒレッジの抜けたユリエルでは意味がないってことでギターレスのバンド=当時で言うナイスのイメージでバンドを再構築、それがエッグというバンドだ。

 1970年デビューアルバム「Egg」をリリース、音を聴くと「は?」ってなモンだ(笑)。今回はそのファーストよりもバンドのやりたいことが明確になったセカンドアルバム「Polite Force」を取り上げてみよう〜。1970年11月発表だからファーストと同じ年にリリースされた作品でバンドに勢いがあったことがわかる。相変わらずクラシカルな楽曲を奏でてくれるのだ。

 が…、これ、正にプログレッシブロックとも云える変態且つ複雑かつ美しく淡々としていてテクニックも申し分ないという代物で、あまりにも高度すぎる音楽世界が広がる。これだからプログレは難しいのだ(笑)。最初の一曲目だけは歌が一応あって、変拍子なんだけどまだ聴きやすい性格を持ったものだけど以降はもう恐ろしいまでの変拍子の組み合わせだったり全くリズムの取れないサウンドだったり、また3曲目では思い切り実験的で、その特異性はドイツのクラウトロック連中の実験性にヒケを取らないくらいのミニマル性を持った曲で、なんだこりゃぁ〜ってくらいクールな世界。4曲目からの組曲はもう変態的な楽曲でマジメに聴いていたらとんでもなく複雑なことに気付くだろう。まぁ、普通に聴いてもヘンなんだが(笑)。 バンド編成が鍵盤、ドラム、ベース+その他楽器っていうトリオなのでもうちっとシンプルかと思いきや、とんでもなく多様な音が出てくるのも不思議で、何かと思えばトランペットとテナー・サックスにゲスト陣を迎えていた。その一人がボブ・ダウンズというブリティッシュ・ジャズ界でも割と著名な人。う〜む、難しい。ただ、ジェントル・ジャイアントのような冷たさとはチト違っていて、温かみのある音色ってんが面白い。もしかしたらもっともプログレッシヴロックらしいプログレッシヴロックを奏でているバンドかもしれない。

 バンドはここで一旦解散して、1974年にもう一度再結成してアルバム「The Civil Surface」をリリースしているが、こちらにはそれこそスティーヴ・ヒレッジやリンゼイ・クーパーの参加したセッションアルバムに近いが、それでもやっぱりとんでもなく複雑な作品…。う〜む、ホンモノのプログレッシヴミュージシャンなのだなぁ。

Gilgamesh - Gilgamesh

ギルガメッシュ(紙ジャケット仕様)  カンタベリー系の音と言ってもそれなりに多様性はあるワケなのだが、一部非常〜に酷似しているバンドの音というものもある。それはメンバーが被っていたりするからだと思うのだけれど、それが故に割と音だけでは判別しにくいものというバンド群がギルガメッシュとナショナル・ヘルスやハットフィールド&ザ・ノースだったりする。多分それらのどれかの曲の途中だけを聴かされて、「どのバンドだったでしょうか?」と訊かれても正確に答えられる自信は全くない(笑)。

 ギルガメッシュ1975年リリースのアルバム「ギルガメッシュ」。音的にはアラン・ゴウエンの鍵盤とフィル・リーのギターがメロディを奏でる美しい音で、ここでのベースがニール・マーレイだったり歌、というかコーラス担当がアマンダ・パーソンズという女性なワケで、半分以上ナショナル・ヘルスなワケだ。もっとも楽曲と演奏のイニシアチヴを取る鍵盤奏者とメロディを奏でているギタリストが違うのでレベル差はもちろんあるんだけど、やっぱりカンタベリー独特の音を奏でているので何とも言えないねぇ。もちろんギルガメッシュの方がこのメンツでの演奏は先なのでナショナル・ヘルスがギルガメッシュだ、という言い方が正しいのだが(笑)。そしてもうひとつ決定的に似ている音の理由にこのアルバムのプロデューサーがデイヴ・スチュアートだった、ってことだろう。そりゃ似てくるわな、と。

 一応楽曲的にギルガメッシュの方は大曲というよりも組曲構成になっていて複数楽曲が展開されていくという様相なのでドラマ性はあるんだけど、インスト中心に変わりはないのでちと集中して聴かないとハマりきれないかも。そういえば自分もインストモノってそんなに好んで聴かないけどカンタベリー系のはいつしか普通に聴いている。よくジャズ寄りと言われたりするんだけど、別にジャズっぽいとは思わないし、かと言ってバリバリロックでもないので不思議なんだけど、まぁ、フュージョンを思い切り暗くしてもっと多様な音色を散りばめたような音、とでも言えば良いのかな。いやぁ、やっぱカンタベリーはカンタベリーとしてひとつのジャンルになってしまっているなぁ。

 そしてこのギルガメッシュなるバンド、ナショナル・ヘルスに吸収合併されていくのだけど、かろうじてその合併劇から外れたメンツにヒュー・ホッパーというこれまた強烈な助っ人を入れてセカンドアルバム「Another Fine Tune You've Got Me Into」を1979年にリリース。音的な構成は似ているけれどなんとなくファーストの方が良いかなぁとは思う。まぁ、よく理解していないで書いているんだけど(笑)。