Soft Machine - Soft Machine

1 & 2  昨日見当たらなかったソフト・マシーンのアルバムを発掘して久々に聴いた。シド・バレットのソロ作品のバックを務めた程の変態集団なワケで、感性の面でも共通項があったからこそシドのアルバムが静かなる狂気を秘めた作品になっている面もあると思う。

 で、ソフト・マシーンってのはバロウズの作品からバンド名をつけたバンドで、ピンクフロイドと同時期に同じようなシーンで活躍していたバンドで最も人気が高かったようだ。このバンドの場合はファーストアルバムが以降の方向性を決定付けたということは全くなくって、逆にどんどん進化していってしまったバンドなのでファーストアルバム論は働かないんだけど、単純にアルバムとしてフロイドの持っている面に近づける作品じゃないかな、と。こちらには偉大なる放浪者であるケヴィン・エアーズがサウンド面のイニシアティブを握っていたこともあり、カンタベリーミュージックと呼ばれる英国ならではのポップさを世に知らしめた作品として語られてもいいんじゃないかな。相方にはこの後英国カンタベリーシーンの重鎮となるロバート・ワイアットも在籍していて、彼にとっても本作がデビューアルバムとなったし、鍵盤には強者マイク・ラトリッジを迎えている。アルバム発表前には後のゴングを結成する永遠のヒッピー、デヴィッド・アレンも在籍していた。これだけの面々が揃った中で何が作られたかと言うと…、変なポップスとジャズみたいなポップ。もちろんロック好きにしかわからないようなポップス。う〜ん、偏見か(笑)。ツボにハマる人はハマる。その分発見した時の喜びは大きいニッチな世界ってのは認めるけど、入ると深くて楽しいカンタベリーミュージックの世界は音楽センスのあるポップスファンなら非常に受け入れやすいと思います。

 とは云えどもかなり前衛的な面も持っているので誰にも受け入れられるもんでもないのも事実。でもフロイドだってイエスだってそうなんだからソフト・マシーンが認知されない理由はないね。CDで聴くと見事にアルバム全曲が一曲になっているのでもの凄い大作に聞こえるし、もしかしたら史上初の全曲繋がりアルバムじゃないかと思うんだけど、その分バラエティに富んだ作品。

 「Hope For Happiness」から始まるんだけど、velvet underground「The Murder Mystery」より先に、これも世界初だと思うんだけど、一つの曲でふたつのメロディーが同時進行する曲が一曲目だったりするし、滅茶苦茶ポップで浮遊感が堪らない。うん。基本的にCD前半ではロバート・ワイアットの優しくて壊れそうなボーカルが心に染み入るし、その合間に叩かれているドラムもワイアットだが、これがまた何というのかスナップが柔らかいと言うのか凄くジャジーなフレーズが幾つも幾つも叩かれている。「So Boot If At All」では歌もさることながらそのドラムが心地良い。ラトリッジとのバトルも非常にスリリングだし、そんなところにケヴィン・エアーズの「Lullabye Letter」が出てきて、この人はホントに独特のセンスがあるよなぁ。ベースのセンスもアルバム全体を通して凄く際立っているのも特徴的。でも全然重くないので聴きやすい不思議な作品で、CDではファーストアルバムとのカップリングになっている。  やっぱいいなぁ、と思わせるし、後のジャズバンドに変化するソフツの断片はもちろんあるんだけど、基本的に演奏力が高いから好きに演奏するけどカンタベリーポップの原点が溢れ出ている素晴らしきファーストアルバムだね。

Soft Machine - Volume Two

Volume Two 当時Pink Floydなんかとかなり近しいサウンドを奏でていたUFOクラブの常連バンドだったSoft Machine。これまた同時代の1968年にセカンドアルバム「Volume Two」をリリースすることとなるが、Pink Floydと近いことのようにファーストで天才的なソングライティングを示していたケヴィン・エアーズの脱退劇を迎えていた。その後にマネージャーをやっていたヒュー・ホッパーとその兄のブライアン・ホッパーをゲストに迎えて「Volume Two」を製作。作風はと言うと後のSoft Machineの片鱗は見え隠れするものの、やはりファースト「Soft Machine」に近しいサウンドを狙っていたような感覚の曲が多い。う〜ん、どっかのPink Floydと同じ構図(笑)。

 とは言え、Soft Machineのその後を知る人には今更何を、と言うことかもしれないのでメンバーチェンジについては多くを語れないのだが、当時はきっと焦っていたに違いない。うん、Soft Machineってさ、アルバムごとにメンバー違うんだよ、この後は(笑)。まぁ、そういうバンドもあるってことで…。そんでもってこのセカンドアルバム「Volume Two」はクレジット上だけでは18曲あって、それでも34分くらいなんで非常〜に聴きやすくサイケデリックです。だって、全曲繋がってるんだもん(笑)。しかもねぇ、英国的だなぁ〜ってのがさ、「A Concise British Alphabet Pt.I」ってのがあって、歌詞が「abcdef…xyz」だけ。更に「A Concise British Alphabet Pt.II」では「zyx…cba」で終わる(笑)。ケヴィン・エアーズいても同じだったろうけど、それをロバート・ワイアットがやってるんだよね。まぁ、そんなのもあって凄く楽しめるし、全くおもちゃ箱をひっくり返したようなサウンドが一杯詰め込まれている。そんなバンドなかなかないでしょ。

 そういう世界だけど、ヒュー・ホッパーが参加したからか、あの独特のベースラインが生きていて、後のSoft Machineを彷彿させる音色を聴かせてくれるのは面白い。Mike Ratridgeはまだまだ多様な鍵盤の使い方ってことで、「Volume Two」でももちろん際立っているんだけど、何にでも合わせられそうな人だからさ。そういう意味ではロバート・ワイアットの悲しい声質も既に確立されているし、この時期のSoft Machineが好きだって人の気持はよくわかります。歌詞にしても実にシュールらしいし、音の方もユーモアたっぷりだしね。ジャケットも結構強烈なインパクトを放っている…。

Soft Machine - Live 1970 Live 1970

Soft Machine - Third

3(紙ジャケット仕様)  どこか冷淡で複雑なサウンドというものを適当に流して聴くということはなかなかできなくて、大体そういう音楽ってのは流して聴くには非常に不快感なサウンドとして聞こえるだろうし、だからその手の音楽ってのは割とじっくりと聴くという時間が必要になる。ここのところの自分の時間のなさを考えるとどうしてもその手のサウンドから遠ざかってしまうんだよね。iPodで聴くのも不自然な音なのでやっぱり家でじっくりと聴くことになるので余計に、だ(笑)。でも頭の中ではそういうのを聴きたいなぁと思っていて、チャンスを伺っているのだが…。

 ソフト・マシーン1970年リリースの「Third」。ソフトマシーンはどれも好きなアルバムばかりで聴けば聴くほどにハマリ込んでいくバンドなのでどれを聴くかなぁと思ったんだけど、なんとなくゆっくりとハマり込みたかったので「Third」。アルバムはアナログ時代にはメンバー4人が片面づつ曲を受け持つってことで2枚組全4曲入り、という構想。凄いよな、なんで一人一曲でアルバム片面を埋めるんだ?完全にジャズロックに傾倒していった時代だから故の発想なんだろうけど、その分当時はC面に収録された3曲目の「Moon In June」のロバート・ワイアットの楽曲の美しさにほっとしたものだ。ちなみにこの時にメンバー編成はマイク・ラトリッジ、ヒュー・ホッパー、ロバート・ワイアットの三人にエルトン・ディーン他が加わった面子で、その他というのもバイオリン、フルート、サックス、トロンボーン、クラリネットという楽器なんだからそりゃヘンだわな(笑)。

 そうだなぁ、普通に聴けばジャズを聴いているような感覚なんだけど、やっぱりそこは何故かロックだったりする。一生懸命ジャズをやってるんだけど、何でだろうね。オープニングの静かな始まりからメインテーマが出てきていわゆるジャズと同じような感じでテーマから派生する即興音楽がメンバーの力量を示してくれるし、緊張感もたっぷりと醸し出しながらバランスよくぶつかりあって展開されていくというスタイルの曲ばかりで、いわゆるプログレの世界ではないね。中でも圧倒的に曲を引っ張っているのはヒュー・ホッパーのベース。ワイアットのドラミングも格段にスケールアップしているのはもちろんだけど、ヒュー・ホッパーのベースってこんなに自己主張してていいのか?ってなくらいに存在感たっぷりで面白い。

 そしてワイアットの「Moon In June」で初めて歌が聞こえてくるんだよね、それが凄く優しくて、それこそが後のマッチングモールへと繋がるんだなと思うんだけど、それでも楽曲的には正にカンタベリー的サウンドの象徴でもある感じで、浮游感のあるポップなメロディに複雑なバックの演奏とアレンジが絡み付くもので、最初の歌パートが終わってからはそのメロディの流れを汲んだ即興演奏が繰り広げられるんだから面白い。この路線でバンド一個できるもんな。歌メロも即興音楽のひとつの楽器として認識してメインパートを受け持つ、みたいな感じでね、不思議なんだな。だから同じ歌メロが出てくることが非常に少ない(笑)。そんな曲よく作れたなぁ、というか歌えたなぁ、と思ってしまうんだけどその辺の感覚がおかしい人達なんだろうね、このバンドは。

 ソフトマシーンってもちろん根強い人気があるからなんだろうけど、もの凄い数のライブアルバムがゾクゾクとリリースされていて、ほとんど追いつけていない(笑)。時期的に区切って聴けば良いんだろうけどなかなか全部制覇できないんだよねぇ。んでもこの「Third」の頃の面子では「グライズ」「バックワーズ」「Noisette」「Live at the Proms 1970」あたりかな。詳細データ不明だけど。

Soft Machine - Fifth

Fifth  アヴァンギャルドサウンドから遡ってみるとカンタベリーにまで行き着く、そしてカンタベリーの中でもやはり最前衛的な音を出していたのはやっぱりソフト・マシーンだよな、と思い出すのだ。ソフト・マシーンの遍歴はアルバム毎に見事にサウンドもメンバーも替わっていくもので、そういう意味ではキング・クリムゾン的かもしれない(笑)。が、サウンド的には全く正反対とも言えるもので激情的なシーンが全くと云って良いほど聴かれないのがソフト・マシーンで逆に激情的なアンサンブルを重要視していったのがキング・クリムゾンとも言える、かな。

 その長いバンド歴史の中でも真ん中に位置する、「Fifth」だが、全作品中最もジャズに近づいた作品と云われる。しかししっかりと根はロックなのだなぁ、聴いているとね、そう思うワケよ。確かに面子的にもエルトン・ディーンのサックスを筆頭にマイク・ラトリッジのオルガン、ヒュー・ホッパーのベース、ドラムはフィル・ハワードとジョン・マーシャルによるものでフリージャズ的な要素が強い…と括って言ってしまっては元も子もないので、フィル・ハワードの叩いているA面はかなりフリージャズのエッセンスが強くて、こちらはエルトン・ディーンの真骨頂とも云える一曲目の「All White」がもの凄く心地良い。かと思うと続いての「Drop」ではやはり聴き慣れたマイク・ラトリッジのオルガンが心地良く鳴ってミニマル的な要素も強い従来型ソフト・マシーンと言った音だ。…と言うか次作あたりまで続くソフト・マシーン的な音、だな。こういうの好きだからソフト・マシーンってなんだかんだで良く聴くんだよね。ヒュー・ホッパーとマイク・ラトリッジはどちらかと言えば展開を決めたジャジーな音が好きらしく、一方のエルトン・ディーンはあくまでもフリーフォームなスタイルが好きなようで、そのせめぎ合いがこの時期のバンドのバランスを危うくしているという見方もあるし緊張感を煽っているってのもあるか。しかしこの後ベーシストとして参加することとなるロイ・バビントンがダブルベースでゲスト参加した「As If」はかなり激しいバトルの繰り広げられるインプロ中心の曲でベースが見事に歌っているし、サックスも素晴らしい…、そしてソフト・マシーンらしいマイク・ラトリッジのオルガンが美しく冷たく淡々と鳴っていていいなぁ〜と思わせるよ、ホント。この時期のソフト・マシーンは結構好きだなぁ…。

 アルバム「Fifth」がレコーディングされたのが1971年から72年頃で1972年にはアルバムリリースされている。そして72年にフランスで行われたライブ「Live in France」が突如として1995年にリリースされて、驚きのあまり速攻で買ってしまったのだが…。これはドラムにジョン・マーシャルが参加しているヤツで、アルバムほどの鋭さはないけど「5」の曲中心でライブが丸ごと収められているのでマニア必聴のアイテムだね。ソフト・マシーンってのはホント時期時期で音が違うのでそれぞれのライブ音源ってのも聴けると面白いし、当時この頃のライブなんて他では聴けない代物だったからなぁ、刺激的だった。

 それとこの時期にエルトン・ディーンは自身のソロ作品「Just Us」もレコーディングしていてこちらもほぼ同じような面子で録音されているので兄弟作品として聴いておきたいね。こうなってくると全くジャズメンと同じようなセッションで誰がリーダーか、ってだけの違いになってくる(笑)。

Soft Machine - Six

 英国音楽というのは実に奥深いものだと言うことをつくづく感じさせられるバンドのひとつには‥ってか、そういうのばっかりなんだけどさ…。ホント英国って凄いよなぁと思うこと多いんだけど、中でもあまり一般的ではないけどとんでもなく凄いバンドという位置付けで聴いているのがソフトマシーン。アルバム毎にメンバーは違うし内容も結構異なるので実態が掴みにくいバンドのハズで、自分でも最初はなんじゃこりゃ?っていう方が多かったからねぇ。簡単明瞭に言えば初期はサイケ、中期がジャズロック、それからフュージョンバンド。で、今回はその狭間、中期から末期の間にリリースされて究極の美しさを保っているアルバムだ。

 やっぱねぇ、全ソフツのアルバムの中で「6」が一番好き。ちょっと前までは全く聴くことも出来ずに探すのも精一杯のソフツのアルバムでさ、もちろんCDにはなってないしアナログっつっても全然見つからなくて、あるのはいつも「Bundles」とか「Softs」とかでまともな数字アルバムは全然見当たらなかったので探すの苦労したんだよ。だから順番に見つけていけることもなくって見たら買い、みたいな感じだね。で、売れたであろう初期から三枚くらいはまだそれなりだった。が、4枚目から7枚目まではほんとに見つけるの大変だったんだよ。あってもメチャ高いしさ。そんな苦労があって、最後の最後まで手に入らなかったのが6枚目。二枚組だったからレアもんで見つけると相当高くてさ…配給は確かCBSだから決して珍しいもんじゃないはずなのに絶対数の問題なんだろうな…。で、ようやく見つけて買ってターンテーブルに乗せて聴いたさ。

 一枚目はライブが収録されているみたいで(いや、当時はそんなこと知らなかったのでちょっと驚いた)、何が一番驚いたかって言うと、最後に歓声が入ってるんだけど、それが凄く大きな会場で大歓声みたいに収録されてるのだよ。この音楽でこんなに絶賛されてしまうのか?ってのが驚いた。まぁ、だからメジャーなバンドなんだろうけど、それでもそんなに…ってくらいだったね(笑)。で、一番好きなのは二枚目のスタジオ録音の方♪

 「Soft Weed Factor」から始まるミニマル的な反復サウンドを繰り返す中で広がっていく心地良い展開がたまらなく良くってさ、うわぁ〜、こんなの聴いたことない、っていう衝撃で、静かに一人でハマって聴く音楽なのはもちろんなんだけど、浮遊感っつうのかね、電子ピアノの音色と管楽器の融合に重いベースが絡んでいて…凄いバランスで成り立っている作品だなぁと感動。次のアルバム「7」も同じ路線だけどやっぱ「6」の美しさに圧倒的軍配が上がる。多分「6」でヒュー・ホッパーが脱退してしまったことでちょっと変わったんだろうなぁと。そして新加入のカール・ジェンキンスが最初から主導権を握って新たな展開を進めていったっつうのも微妙なバランスで良かったんだろう。ニュークリアス組とソフツ組のバランスがよかったんだよな。

 しかしこの作品は本当に気持ち良い。今やカール・ジェンキンスはアディエマスでヒーリングミュージックの大御所になってしまっているが、その源流はもうちょっと前にニュークリアスにあるとしても確実にこの「6」にも源流が脈々と流れていて、そうやって聴くとなるほど、ヒーリングだ、と思えてしまうのだ。気持ち悪くならないプログレサウンド。プログレっつうのも狭い世界に感じてしまうけどね。

Soft Machine - Bundles

Bundles  進化し続けたロックバンドという定義に当てはまるバンドってのは代表的なのはクリムゾンだったりするんだろうけど、まだ想定の範囲内っつうかわからんでもないって気がするんだけど、全くよくわからない変化をしていったバンドのひとつにソフト・マシーンってのがある。元々はサイケポップなバンドだったのがミニマルミュージックにも行くしブラスジャズロックにも進むし完全にフリージャズの世界にも突入するし、かと思えば思い切りフュージョンの世界にも行ってしまうという完全に理解不能の世界を築き上げていったバンドなのだ。

 そしてこのバンドも末期…っつっても1975年頃なのでまだまだなんだけど、メンバーがニュークリアスの面々で占められてしまった頃にどういうワケかアラン・ホールズワースを迎えて制作された最高のジャズフュージョンロックアルバムが残されているのだ。それが邦題「収束」と呼ばれる「Bundles」と言う作品で、何と言っても最初を飾る「Hazard Profile」組曲のリフレインとバンドアンサンブル、更にはホールズワースの驚異的テクニックを駆使したソロパートなど絶妙な息の合い方とも言える素晴らしき作品になっているのだ。ソフト・マシーンを追いかけて聴いていた頃は当然フリージャズロック的なところを追っていたのでまさかこんなにさわやかで明るめの曲が登場するっつうのは予想してなかった作品だったからあんまり聴かなかったんだけど、ここのトコロのホールズワース関連を聴いているとなかなかどうして、いいじゃない、って思ってね。ベックがフュージョンアルバム出した頃、既にこんなのをしっかりとやっていたソフツっつうかホールズワースってやっぱ凄いなぁと思うんだけどね。

 もちろんホールズワースをクローズアップしていない曲はやっぱりニュークリアスソフツのいつもの、というかお馴染みの音が聴けるので古いファンが離れる必要があったとも思えないんだよな、今聴くならば、だけどさ。タイトル曲とかかなりスリリングで良いけどな。まぁ、ソフツである必要性もないからその辺難しいんだろうけど、こういうの結構いいな。ブログ書いてて色々な音楽の棚卸し気分であれこれ聴いているんだけれど、昔聴いたのなんてのも聴き直すと印象が違うってのが結構あるので面白いし、また新たに楽しめるという嬉しさもあってね、いいんだよ、それが。このアルバムは正にそれに当たった感じ。この後の「Softs」っつうアルバムも楽しめそうだな…。

 しかしこの「Bundles」ってこんなプレミア付いてるの?今回の紙ジャケシリーズでリリースされてほしいよね、こういうのはさ。自分はコレ、アナログで聴いてるんだけどさ(笑)。で、結構ホールズワース時代のライブ盤ってリリースされてるんだね。「Floating World Live」とか「BBC Radio 1971-1974」ってところね。

Soft Machine - Noisette

Noisette  カンタベリー一派のライブの殿堂でもあったのか、英国クロイドンにあるFairfield Hallでは盛んにライブが行われていた。あとよく見かけるのはDrury Laneだね。この辺はライブ盤っていうとよく出てくる会場。先のCaravanが1974年のライブをリリースしていたりRobert WyattはDrury Laneでの1974年のライブ「Theatre Royal Drury Lane」をリリースしていたりするが、同様にライブ盤の発掘が異常に高まっているSoft Machineのライブも出ている。しかも最高傑作との誉れ文句が絶えない傑作として名高いものだ。

 「Noisette」というアルバムタトルで2000年に発掘リリースされた一枚で、内容は1970年1月のFairfield Hallに於けるライブの実況録音盤。しかもこの時期、Soft Machineとしては珍しい5人編成の貴重な時期、アルバムでは「Volume 2」と「Third」の間に当たるので、サイケデリックなポップバンドからジャズ〜な体質へと変化している最中…と言うか、思い切りフリージャズになったSoft Machineが「Third」を前に実験的ライブをひたすら繰り返していた頃の記録として聴く方が賢明か。「Noisette」ではメンバー編成によってなのか、フリージャズ方面に進んでしまったバンドだが、そこでも面白いのは意図しないまま音楽性が広がってしまったというところ。Lyn Dobsonという貴重なメンツがいるおかげでサックスやフルートなんてのが登場してくるし、しかもスキャットボーカルまで披露してくれるから面白い。Elton Deanのそれとは明らかに異質な、スタジオ盤だけを聴いているとかなり浮いた感じのあるサックスの音色やフルートってのは一発で誰これ?ってわかるものだ。更にHugh Hopperの独特のクセのあるベースラインが曲をうねらせる。恒例Ratledgeの鍵盤は相変わらず淡々としているものの音色に変化を付けながらやはりSoft Machineの中枢とも云えるサウンドを奏でてくれていて、この音色を聴くとやっぱり安心する自分もおかしいかも(笑)。

 元々ポップ志向が高いジャズ好きなドラマー兼ボーカリストの優しいRobert Wyattのドラミングも負けず劣らずしっかりフリージャズにハマっているのも見事。このバンドのアンサンブルってのは練習してできるもんじゃないだろうけど、メンツが揃うと出来てしまうものなのかね?一時期参加、なんてのをよく見たり聴いたりするけどしっかりとプレイヤーの一員として機能しているんだからミュージシャンなんだなぁなんて思う。普通の譜面を読む人間じゃ無理だろうし、ロックやってる人間でも出来ないだろうからやっぱりジャズメンなんだろうな…、でも出てくる音はどこかロックだから面白い。いいわ、やっぱ。  90年代中頃くらいから怒涛のごとくリリースされているSoft Machineの発掘ライブ音源の数々、いつか全部制覇したいと思いつつもなかなか後手後手になってしまうのは多分聴くのに凄く神経を使うし、集中力が必要だからだと思う。集中しないと面白くないしこの研ぎ澄まされた感性を受ける方も大変だしさ(笑)。しかしまぁあの「Third」の名曲「Moon In June」も歌なしのフリージャズになってるってのはこちらがそもそもの完成形で、後から歌パートが加わったのか?と思うような出来映えだし、そこへ持ってきて最後は「We Did It Again」ってのがこれまたKevin Ayersの曲で、こういう面々の時の最後に登場するのも面白いし新発見。何回聴いても再発見は沢山あるし何よりもこの研ぎ澄まされたライブの緊張感と演奏の熱気は絶品だ。確かにSoft Machine史上最高傑作と言われるのも良くわかる異常にテンションの高いライブ盤。見事。

 同じ年の1970年1月末に行われたライブを更に長く収録した2枚組のライブCD「Breda Reactor」ってのも発掘リリースされているのでこちらにも挑戦しておきたいところだ。う〜ん、またカンタベリー熱に火が点き始めてきた。

Hugh Hopper - 1984

1984  そういえば、とばかりにふと思い出して探し出してみたHugh Hopperの作品。Soft Machineのヘンな方向性の要因のひとつにはHugh Hopperのアヴァンギャルドなジャズ志向が大きく影響していたことは想像に難くなく、むしろその指向性があったからこそSoft Machineというバンドの方向性が見えたとも云えるのだろうと思う。もっともHugh Hopper一人の志向ではなくメンバー編成等も含めてそうなっていったのだろうが。  それでね、随分昔にHugh Hopperの最初のソロアルバムってことで結構探して手に入れたのがあってさ。1973年のSoft Machine在籍中にリリースしたソロアルバム「1984」…。ジョージ・オーウェルの小説「一九八四年」をモチーフにした作品ということで、真っ先のその発想はDavid Bowieの「ダイアモンドの犬」を思い出したんだけど、もちろん音楽的に何の共通項もありません(笑)。アーティストによる解釈というスタンスを比較する面では面白いだろうけど…。

 さて、そのHugh Hopperの力作はSoft Machineの仲間でもあるJohn MarshallやCaravanのPye Hastingsやカンタベリー一派のサックス奏者として名高いLol Coxhillなどを迎えてのアヴァンギャルド作品。Soft Machineの音が可愛く聴こえるくらいにぶっ飛んだ世界に進んでいるのが凄い。お得意のファズベースをたっぷりと活用して、何本もベースを重ねて楽曲を構築している…、言い換えるとベースをバックにベースでソロを取り、ベースで効果音までも奏でるというようなこともしていてアーティスティックに興味深い側面が強い。もっとも音楽性の面では多分にフリージャズな面とあくまでも「1984」の世界観を打ち出しているというのもあって「Miniplenty」なんてこの後のSoft Machineの「Six」に共通するミニマルミュージックの展開要素が既に構築されている。その世界観が見事に深層心理を恐怖に陥れる効果を担っているのだから、Mike Oldfieldの「Tubular Bells」と同年にリリースされている本作でのアプローチは決してMike Oldfieldの「Tubular Bells」が新しいものではないということを明示しているのもひとつの主張じゃないだろうか?もっともそれを自慢気に言う人じゃないし、Mike Oldfieldも知ったカンタベリー仲間だったろうし、行き着く音楽が同じでもおかしくはないか。

 そんな実験的側面を多分に持ったHugh Hopper最初のソロアルバム「1984」を聴くのなら、結構心してトライした方が良いかな。じっくりと集中して聴くなら相当楽しめるけどそうじゃなけりゃ単に苦痛な音楽と感じると思うだろうから(笑)。